早指し

24で早指しを体験して感じること。

  • "悪くなる前に考えろ"とはよく言われることだが、早指しでは悪くなる前も悪くなってからも考えることなど(私には)とても出来ない。若い人が直感力を磨くにはよいのかもしれないが私のようなロートルにとって何の意味があるのだろう。確かに駒の効きを見逃すというような単純ミスは少なくなるだろうが、本質的な部分で進歩がありうるのかどうかは疑問だなと思う。

前回掲載の2局目を例に取ってみよう。局面図以後11手目△5八銀と6九の金取りに打った所で何を考えていたかというと"お願い!金を取らせて"以外ほとんど考えていないのだ。かわされたら困りそうだとは感じながらもそれ以後の手順とか△5八銀にかわる手とかは考えていられない。相手も相手で角を何とかしなければという意識だけが先にたっていたのだろう、金取りを放置して▼6五歩△6九銀不成▼同玉となり下図の局面を私にプレゼントしてくれたわけだが。

この局面、時間があれば間違いなく△6七金を考える所だろう。実際それは有力だったようだ。金なし将棋で仕方なく▼5九銀と受けた場合△4八成桂(△5八歩は6八銀右で駄目?)▼4七竜△同成桂▼6八銀打と進むのかもしれない。また▼6八飛と頑強に受けだ場合は△同金▼同銀△3八飛くらいか。いづれにしても飛車を手にして私の方にも楽しみが多そうである。しかし秒読み最中は、攻めた拍子に相手玉を立て直されたり相手角をさばかれて玉の逃げ道を増やされては勝ち味がなくなってしまう、どうも駒不足だという感触だけが先走っている。そんな中で浮かんだ一手が角筋を塞ぎつつ相手金を攻める△4四桂、秒読みの中で捻り出したという意味では自慢の一着である。これに対する相手側の最善手は多分▼3二玉だと思うがそんな手をここで指す余裕があるなら最初から玉を下段に落とされる手順を避けていそうなものだろうし、その点では読み通りだったわけだ。しかしまともと言えるのはこの手位で後はボロボロ、私は自陣をかえりみずとにかく相手玉頭に喰らいついて離れないという気持だけを頼りに指していく。90手目で簡単な詰み手順を見落としたらしいと感じた後はほとんど目が見えない状態に陥ってしまった。
余談だが投了の局面では私がもたもたしている間に先手は随分と持ち駒を増やしている。往生際の悪い私なら投げたりせずとりあえず▼7一銀と王手をするだろう。それで結構難しいかもしれない。もしかしたら詰みまであるかもしれないし△同金▼5二飛△7二銀▼5七飛成△同成銀という変化も考えられる。以下たとえば▼4四角が(詰めろのがれの?)詰めろとなって良さそうにも見える。△4九飛(▼7八玉なら△4四飛成▼同竜△6六角?)のお返しがあってやはり駄目かもしれないが。