最強馬論争

いよいよ凱旋門賞まで後一週間を切った。難関であるが健闘を期待しよう。もし勝てば日本では(というよりヨーロッパ調教馬以外では)初の快挙ということで(日本)史上最強馬という評価も高まってくるだろう。既に今までにファン・アンチ入り乱れての論争が盛んに行われているようだ。ただし内容はというと、一見して論争にすらなっていない場合が多い。理由は単純で、より強いとは何かということの共通認識を持とうとさえせずに議論していることにある。そもそもより強い(速い)という順序付けそのものが可能なのかどうか?という疑問を持たないことが問題だろう。こんなことでは収まりが付くわけがないということで考え出されたのがクラシフィケーションという手法である。
クラシフィケーションとはパフォーマンス(発揮能力)に着目した手法であり、一つ一つのレースに限定すれば出走馬間の強さ(速さ)の比較はかなり明確であるということに立脚する手法である。そして出走馬間の強さ(速さ)の差は着差によって評価することになる。もしあなたが着差以上の強さを感じたとしても残念ながらそれは無視されることになる。逆にこの点で有象無象の評価の恣意性を排除することが特長となっている。このあと当然相対評価でなくそのレースのレベルの(絶対)評価を行う必要があるのだが、これに関しては大して明確ではない。まあ何らかのやり方(一番大事なことをすっ飛ばしですいません)で基準の設定が確定した時点で各出走馬のそのレースにおけるレーティング(ポイント)が定まることになる。もっともいわゆる凡走は評価しないので何着か(6着とか4着のようだ)までに入った出走馬のみであるが。こうして各馬がある定められた期間(半年〜1年?)に出走したレースの中で獲得した最高の(レーティング)ポイントがその馬のレーティング(ポイント)となり、最高のパフォーマンスを評価することになる。勿論、この手法にも限界はあって、たとえば

  1. 凡走は無視されるため大駆けする馬・適正の偏った馬に有利、安定性・万能性はあまり評価されない。例えば、無敗の3冠という万能性・安定性の証明もそのこと自体は評価されない。もし凱旋門賞に勝って日本の高速馬場でもヨーロッパの力のいる馬場でも力を発揮できるということを証明してもそのこと自体が評価に上乗せされることはほとんどない。
  2. 基本的に着差以上の評価がされないため、勝てばいいんでしょと差をつけないで勝つタイプの馬の評価が低くなる。

などの問題をその性格から挙げることが出来る。
2.はともかく、名馬という観点から見た場合安定性は重要な要素であり1.は何とかならないか?と思うが。